ヒートショックを防ごう!!
ヒートショックとは、寒暖差によって血圧が急上昇・急降下することにより、血管や心臓に大きな負担がかかることを指します。
ヒートショックが発生すると、意識喪失や脳梗塞、心筋梗塞などが発生しやすくなり、死亡に至ることもあります。
とくに、浴室内での発生は、溺水に繋がる可能性があるため注意が必要です。
発生しやすい時期 冬
発生しやすい時間帯 深夜~早朝
発生しやすい人 高齢者
「寒暖差のある場所」とは
暖かい居室から、気温の低い脱衣所・浴室内に入ることで、血圧が上がります。その後、温かいお湯に入ることで更に血圧が上がり、しばらくお湯につかっていると下がります。
お湯から出るときは、水圧がかからなくなることで血圧が下がります。
また、入浴後の温まった体で、寒い脱衣所に戻ると、血圧は上がります。
このように、短時間で血圧が上がったり下がったりすることで、「ヒートショック」が発生するリスクが高まるといわれています。
高齢期は、もともと血圧が変動しやすい年代です。そのため、ヒートショックを起こしやすいといわれています。
高齢期に血圧が変動しやすい理由
- 普段から血圧が高い方が多い(血圧の変動の幅が大きい)
- 食後やアルコールを飲んだ後、一時的に低血圧になりやすい
- 普段から薬を服用している方が多く、その副作用で低血圧になることがある
など
長野県の高齢者の「不慮の死亡事故」のうち、最も多い死因は「不慮の溺死及び溺水」です。(図1)
また、「不慮の溺死及び溺水」による死者数は歳を重ねるごとに増えており、とくに、冬季に多く発生しています。(図2・図3)
これは、寒暖差によって、血圧が急激に上昇・下降することによる健康被害、『ヒートショック』が関わっているものと考えられます。
参考)長野県内の状況についてて
図1 高齢者の不慮の事故による死因別死亡者数
高齢者の不慮の死亡事故のうち、「不慮の溺死及び溺水」は、最も多い死因です。
図2 「不慮の溺死及び溺水」による年代別死亡者数
溺水による死亡者数は、歳を重ねるごとに増え、とくに75歳以上の高齢者に多いことが分かります。
図3 「不慮の溺死及び溺水による死亡者数」と平均気温
「不慮の溺死及び溺水による死亡者数」は、冬季などの気温が下がる時期に、増加していることが分かります。
ヒートショックに気を付けながら入浴を楽しむには、どのようにしたらよいのでしょうか。その対策を紹介します。できることから実行してみましょう。
(1)入浴前に、脱衣所や浴室の寒暖差を少なくする
脱衣所や浴室内をあらかじめ暖めておくことで、血圧の急上昇・急降下を防ぐことができます。
具体策
- 脱衣所:暖房器具をつける
- 浴室内:蒸気が立つように、シャワーから給湯する
お湯をかき混ぜて浴槽の蓋を外しておく
床に“すのこ”やマットを敷く
など
(2)入浴は、家族などにひと声かけてから
ご家族などが同居している場合は、ひと声かけてから入浴しましょう。万が一、入浴中に体調が悪くなった時、早めに発見してもらうことができます。
(3)かけ湯をしてから入る
かけ湯によって、体をお湯の温度に慣らすことができます。
(4)お湯は41℃以下、お湯につかる時間は10分までを目安に
目安として41℃以下の湯温が推奨されています。
お湯につかる時間は、10分までを目安にし、長時間の入浴は避けましょう。
(5)浴槽から立ち上がるときは、つかまって、ゆっくりと
お湯から出るとき、一時的な意識喪失や立ちくらみを起こすことがあります。
それを防ぐために、お湯から上がるときは、ゆっくりとした動作を意識しましょう。
このとき、手すりや浴槽のふちにつかまって体を支えると、転倒を防ぐことができるため、より安全です。
(6)家族など周りの方は、入浴中の高齢者の動向に注意する
家族など周りの方は、
「いつもよりお風呂の時間が長いなぁ」
「お風呂場から全く物音がしない」
「突然大きな音がした」
など、何か異常を感じたら、ためらわずに声をかけましょう。
また、次のような様子がみられた場合は、すぐに救急車を呼んでください。
- おぼれている
- ぐったりしている
- 意識がない
- 普段どおりの呼吸をしていない、呼吸をしているかわからない
体調が悪いとき
入浴により体調が更に悪化することがあります。普段と比べて体調が悪いと感じた時は、無理をせず、入浴を控えましょう。
食後、飲酒後
食後や飲酒後は血圧が下がりすぎることがあります。食事を摂ってから30分~1時間以上経ってから入浴しましょう。飲酒後は、ふらつきを避けるために、アルコールが抜けてから入浴します。
医薬品(精神安定剤・睡眠剤など)の服用直後
薬の作用により転倒することがあるため、精神安定剤や睡眠剤の服用直後に入浴時間が重ならないよう調整しましょう。